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「韓国伝統音楽の彩り」昼の部 PDF 印刷 Eメール
作者: Kobinata Hidetoshi   

 

2010年7月3日(土)14:00、韓国伝統音楽の至宝、黄秉冀(ホァン・ビョンギ)によるカヤグム散調の演奏会が、紀尾井小ホール(東京都千代田区)で行われた。これは、同日夜の部「韓国伝統音楽の彩り」のマチネーとして企画されたものである。通常、その全曲を通しで演奏することがまれな「伽耶琴散調」が完全版として演奏された。音楽学者徳丸吉彦氏の企画およびこれを実現した新日鐵文化財団に賛辞を送りたい。

前半40分程の時間では、徳丸氏が黄秉冀氏へのインタビューの形で解説が行われた。

韓国音楽の構成の上で重要な用語、1.「長短チャンダン」(リズム周期)、2.調(音階)3.散調形式などの説明があった。配付プログラムにも適切な情報が掲載され、聴衆への理解が図られた。

今回のカヤグム演奏を実際に担当した朴賢淑(パク・ヒョンスク)の音はふくよかで、豊かな響きを楽しめた。チャング(チャンゴ)を黄氏が受け持った。黄氏が旋律を担当しなかったことに、客席には一瞬戸惑いも見られたが、70分におよぶ演奏は素晴らしく、ネイティブの方々からの韓国式掛け声も多くあり、舞台は白熱し感動の中でフィナーレを迎えた。ともかく、完全版散調を身近に生演奏で聴けたことは、貴重な体験であった。このような催しが、広く知られることを願いたい。

 

最終更新 2010年 7月 06日(火曜日) 22:57