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シタールの新星プルバヤン@京都  PDF 印刷 Eメール
作者: Kobinata Hidetoshi   

2010年9月19日(土)、「プルバヤン・チャッタルジー・ジャパンツアー2010」が、「プルバヤンチャタジー Tour 2010 LIVE—仏手 ゴッドハンド—」(京都百万遍知恩寺)で幕を開けた。コルカタから初来日を果たしたシタールの新らしい才能プルバヤン・チャテルジー(Purbayan Chatterjee[1])が、京都や関西圏のインド音楽ファンの注目を集めた。

 

 

プログラムは、仏教僧による声明で幕を開けた。インドに起源を持つ現代日本の伝統仏教と現代インドに息ずく音楽伝統が、伝統と革新の都でまみえたことは感慨深い。

 

一曲目は、ラーガ・へマント。じっくり30分かけたアーラープ、ジョールの即興演奏で聴衆を引きつけた。開始直後には、旅の疲れか楽器の調子が今一つだったが、次第に会場の空気にも馴染んだように感じられた。

ルーパク・ターラ[7拍周期])、ティーンタール[16拍周期]と続いたガット(主題と即興)のセクションでは、彼の右手の超絶テクニックが繰り出された。伴奏のアヌブラタ・チャタジー(Anubrata Chatterjee [2])もこれに答えたタブラーで好演した。

2曲目には宗教歌謡バジャンをラーガ・ミシュラ・カマージュ、終曲をラーガ・ミシュラ・バイラヴィと続け、そのロマンティシズムを印象付けた。

いずれの曲も、世界の様々な文化の影響を強く受ける現代インドの若者の感性が、色濃く滲んだものだった。特に印象的だったのは、スピード感、ストップモーション効果、重音奏法、電子デバイスによる音作りを組み合わせた演出効果だった。若さゆえそれが時に荒削りで空虚に響いたが、成熟が解決するものと期待したい。ともあれ、この後の関東圏でのステージも楽しみだ。

残念だったのは、当日のPAスタッフとの調整時間が不足し、緻密な音作りができなかったことである。様々なハードウェアを使う場合、いかに即興の音楽だと言っても、スタッフとのすり合わせを丁寧にするべきだったのではないだろか。プロフェッショナルなステージマネージャを欠き、時間もかけずに作るステージはリスキーである。とは言え、優れた音楽を届けてくれた演奏者、企画者、協力者、舞台美術の古代人その他のスタッフに賛辞を送りたい。

[1]故ニキル・ベナルジーの直弟子で父親のパルト・チャテルジーよりシタールを習う。

[2]オニンド・チャテルジーの息子。シヴクマール・シャルマーなど著名なインド音楽家の伴奏に起用される。

(演奏者氏名の「Chatterjee」の表記は、広報資料におけるカタカナ表記の不統一を補い既訳との整合を図る意味で、「チャテルジー」に統一した。)

 

 

最終更新 2010年 9月 20日(月曜日) 18:54