オリッサ・オディッシー 東インドの踊りと暮らし展 印刷
作者: Kobinata Hidetoshi   

イドゥリ+サンバル(財)せたがや文化財団世田谷文化生活情報センター生活工房主催による「オリッサ・オディッシー 東インドの踊りと暮らし展」(2010年5月27日(木)〜6月13日(日))が終了した。世田谷区キャロットタワー3/4階の2フロアなどを利用した企画展であった。

 

「オリッサ雑貨マーケット」、「Sundayオリッサキッチン」、「オディッシーダンスワークショップ」(申込者のみ)、「オリッサ家庭料理ワークショップ」(申込者のみ)、「オディッシー着付け教室&撮影会」(申込者のみ)の関連イベント、昭和女子大学人間文化学部国際学科との共催による「オリッサ・オディッシー 東インドの踊りと暮らし展 特別企画 小野雅子オディッシー講演&トークイベント」など、盛りだくさんの企画であった。

 

このような展示会が、音楽や舞踊と生活の関係を見るためには大いに役にたつと考え会場に向かったが、展示の内容は期待を裏切るものであった。確かに生活の紹介と舞踊の紹介は併存していたのだが、「生活の中において」「古典舞踊がどのような存在か」について、見せることができていなかったからである。企画に当たっては、生活工房の担当者や写真家の服部貴廉氏も現地で取材を行い映像も撮っているにもかかわらず、これが明確に意識されなかったのかと想像する。

ともあれ展示品のなかには、舞踊を支える物質文明としての装飾品や衣装など、銀細工やサリーのみごとな職人技を具現したものもあり、見応えのあるものもあった。また、ワークショップ型式や舞踊を学べるゲームなど、来場者がインタラクティブに学べる場を提供していたことには好感を持った。また、Sundayオリッサキッチンのオリッサ(+北インド式)家庭料理の提供も良い企画であった。だがこれが、日曜日に限られていたことは残念でならない。せめて土日の提供であれば、さらに多くの人にインド家庭料理の味を楽しめる機会があったはずだ。

 

この展示会および関連のオディッシー舞踊公演に共通する点だが、日本のアーティストの関わりがあったことは興味深いことであった。インドやオリッサに関する日本人作品の展示、コンテンポラリーダンスの衣装の制作など意欲的であった。ただやはり、これらの展示の背景にどのようなコンセプトがあるかは、展示を見る限り明確には伝わらず残念でならない。主催者および企画制作に関わったとされるLucy+kにおいて、コンセプトの練り上げが不十分であったと考えざるを得ない。また、小野氏の舞踊の技術にはすばらしいものがあるがゆえに、これを聴衆に正しく訴求できる形で見せられなかった点も特別公演での残念な点であった。

4Fのキッチンで提供された料理はスパイスのバランスも良く、「商売屋風」ではない味に好感を持った。また雑貨ショップで、バナナの葉の皿、入手の難しいごまを入れたパパルなどが入手できたことも、うれしいことのひとつであった。まだよく知られていないインドのオリッサ州の文化や芸術がこのような形で取り上げられたことには、感謝の意を表したい。

最終更新 2010年 10月 11日(月曜日) 07:15